税務知識アップデート②
2025/08/07 (木)
コラム
実務に活かす 税務知識アップデート② ~法人税法編~
企業経営において、法人税法の理解は避けて通れない重要事項です。特に近年は、経済環境の変化に応じて税制改正が頻繁に行われており、経理・財務担当者や経営者にとって、最新の税務知識をアップデートすることが不可欠となっています。本稿では、ここ数年の法人税法改正の中から、実務上特に押さえておくべきポイントを解説します。
目次
・賃上げ促進税制の拡充と実務対応
・グループ通算制度への移行と実務上の留意点
・リース会計基準改正に伴う税務処理の変更
・オープンイノベーション促進税制の活用
・実務への影響と今後の対応
・賃上げ促進税制の拡充と実務対応
2022年度以降、政府は賃上げを促進するため、賃上げ促進税制を段階的に拡充してきました。中小企業向けでは、雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加した場合、その増加額の最大45%を法人税額から控除できるようになりました。大企業向けでも、継続雇用者給与等支給額が前年度比で3%以上増加した場合、増加額の最大35%の税額控除が可能です。実務上の注意点として、この制度を活用するためには、給与等の支給実績を正確に把握し、前年度との比較データを適切に管理する必要があります。特に、継続雇用者の定義や給与等の範囲について、詳細な要件を確認することが重要です。また、教育訓練費の増加による上乗せ措置もあるため、人材育成投資と組み合わせた税務戦略を検討することで、より効果的な節税が可能となります。
・グループ通算制度への移行と実務上の留意点
2022年4月から、従来の連結納税制度に代わってグループ通算制度が導入されました。この制度では、各法人が個別に申告納税を行いながら、グループ全体で損益通算や欠損金の通算が可能となります。連結納税制度と比較して、修正申告時の他法人への影響が限定的になるなど、実務上の負担が軽減されています。ただし、グループ通算制度の適用にあたっては、開始・加入時の時価評価や欠損金の切り捨てなど、複雑な規定があります。特に、組織再編を検討している企業では、グループ通算制度の適用タイミングによって税務上の取扱いが大きく変わる可能性があるため、慎重な検討が必要です。
・リース会計基準改正に伴う税務処理の変更
新リース会計基準は、一定の法人については2027年4月1日以降開始する事業年度から強制適用されます。この改正により、従来はオペレーティング・リースとして賃借料処理されていた取引についても、原則として使用権資産とリース負債をオンバランス化することが求められます。税務上の取扱いについては、2025年度税制改正において、借手のオペレーティング・リースの費用について従来通り支払リース料等を損金算入することとされています。このため、会計上は使用権資産の減価償却費とリース負債の支払利息を計上する一方、税務上は支払リース料を損金算入することとなり、申告調整が必要となります。
・オープンイノベーション促進税制の活用
スタートアップ企業との協業を促進するため、オープンイノベーション促進税制が拡充されています。一定の要件を満たすスタートアップ企業への出資について、出資額の25%を損金算入できる制度です。この制度を活用する際は、出資先企業が設立10年未満で非上場であることなど詳細な要件を満たす必要があります。また、経済産業省への事前確認が必要となるため、出資検討段階から税務面での検討を行うことが重要です。
・実務への影響と今後の対応
これらの税制改正は、企業の投資行動や財務戦略に大きな影響を与えています。特に、賃上げ促進税制は、人的資本投資を後押しする効果があり、企業の競争力強化につながる重要な制度です。一方で、グループ通算制度やリース会計基準の改正は、実務上の負担増加を伴う側面もあります。税制は毎年改正されるため、最新の情報を常にキャッチアップし、実務に反映させていくことが重要です。





